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日本原子力発電(株)敦賀発電所1号機で、給水加熱器のひび割れと、
一般排水路に放射性物質が流れ出した事故があったことが昭和56年4月に明らかになりました。給水加圧器のひび割れについては、会社側から監督官庁の国に対して報告がなく、また補修方法も適切さを欠き、所要の手続きが行われなかったことが問題になりました。
また、一般排水路への放射性物質の漏出については、立入検査の結果、廃棄物処理建屋内であふれ出した放射性廃液が一般排水路に流れ出したものでした。原因は廃棄物処理建屋の設計施工上の構造的欠陥に加え、機械類の故障と運転員の操作ミスが重なったものと分かりました。
環境放射能調査の結果では、放出された放射性物質の量は少なく幸い周辺環境への影響範囲は極めて小さく、かつ一時的なものであることが明らかになりました。
しかし、この事故は大きく報道され海産物が一時市場へ出荷できなくなるなどの風評被害が出て問題となりました。
国は、この事故を原子力発電に対する国民の信頼を損なう誠に遺憾な出来事であるとし、日本原子力発電㈱敦賀発電所に対して、6カ月間の運転停止を命ずるとともに管理体制と施設設備を根本的に改善させました。さらに、この事故を貴重な教訓として、廃棄物処理設備などの技術基準の整備や安全審査の拡充、事故・故障の報告対象範囲の明確化などと結んでいる安全協定について、立入調査や通報連絡の条項を中心に改訂し、同種事故の再発防止対策を図りました。 |