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動力炉・核燃料開発事業団(現:日本原子力研究開発機構)の東海再処理施設アスファルト固化処理施設で
平成9年3月、火災爆発事故が発生しました。アスファルト固化処理施設とは、再処理施設から発生する放射性廃棄物のうち、比較的放射能レベルが低い放射性廃棄物をアスファルトと混合し、ドラム缶に詰め、冷却して固化する施設です。
この火災爆発事故は、装置の運転条件を変更したことにより、ドラム缶内で放射性物質を含む廃液とアスファルトとの発熱反応が進行し、火災に至ったとされています。その後、消火が十分行われなかったため、爆発に至り、施設の一部が破損しました。
この事故により、施設やその付近にいた作業員のうち、37名が微量の放射性物質を体内に取り込んだことが確認されました。作業員が受けた放射線の量は、最大で0.4ミリシーベルトから1.6ミリシーベルトの範囲で、放射線業務従事者の年間実効線量限度(50ミリシーベルト)を下回るものでした。また、周辺環境にも放射性物質が放出されましたが健康に影響はないものとされています。
農産物や土、海水などについても放射線量が測定され、異常は認められませんでした。
もんじゅの事故に続き、動力炉・核燃料開発事業団の安全管理に対する国民の懸念が高まり、事故の経過が明らかになるにつれ、事故の技術的な安全性に加え動力炉・核燃料開発事業団の組織としての体質が問われました。そして、動力炉・核燃料開発事業団の事業を抜本的に見直すとともに、経営の刷新を図り、新法人として再出発すべきとして、動燃改革が進められ平成10年10月、動力炉・核燃料開発事業団は「核燃料サイクル開発機構」に改組されました。
一方技術的な側面については、科学技術庁(当時)に事故調査委員会を設置し、検討を重ね、平成9年12月に原因調査最終報告が出され、その後平成11年2月に核燃料サイクル開発機構により再発防止に向けた安全改善措置がなされました。これを受けて同年5月、原子力安全委員会は、施設の運転再開に向けて安全確保がなされていることを確認しています。
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