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昭和54年3月米国のスリーマイル島原子力発電所で、放射性物質が放出され、近くの住民の一部が避難するという事故が発生しました。この事故は、二次冷却水を循環させる主給水ポンプが停止したことが発端となって起こりました。そして①補助給水弁を閉じたまま行ったこと②加圧器逃し弁が開いたままになっていたこと③炉心冷却装置を運転員が停止したり、流量を絞ったりしたことなど、運転員の誤操作や保安管理ミスが重なり、これまでに経験したことのない事故に発展しました。
事故の影響については、敷地境界に居たと仮定した場合の個人被ばく線量の最大値は、1ミリシーベルト以下であると評価されており、周辺住民の健康への影響は無視できる程度でした。
わが国ではただちに、すべての原子力発電所について管理体制の総合的な再点検を実施しました。この結果、スリーマイル島原子力発電所のような事故が起こる心配のないことが確認されましたが、
国では原子力発電所の一層の安全確保を図るため、各電力会社に対し運転員に対する保安教育・訓練の強化や、異常時の運転操作要領の整備充実などの改善措置を指示しました。
また原子力安全委員会は、専門家による調査特別委員会を設け、事故を教訓としてわが国の原子力発電所の安全確保対策に反映すべき52項目を摘出しました。これらの項目は、基準、審査、設計および運転管理に関して順次とり入れられ、原子力発電所の安全性の一層の向上が図られました。
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