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試験運転を続けていた高速増殖原型炉もんじゅにおいて平成7年12月8日、
2次主冷却系配管からナトリウムが漏えいする事故が発生しました。 原子炉の熱を蒸気発生器に伝える役割をする2次主冷却系の液体ナトリウムが、配管に取り付けられた温度計さや管の損傷により漏えいするというものでした。漏れたナトリウムは、配管室内の空気と反応して燃焼しました。
この事故の原因は、温度計さや管の設計が不適切であったため、ナトリウムの流れによって振動し、破損したものと判断されました。
この事故は、原子炉の安全性は確保され、作業員の被ばく、環境への放射性物質の影響はありませんでしたが、高速増殖炉の大きな技術的課題であるナトリウムの取り扱いに関するもので、高速増殖炉の安全確保の根幹に係る重大な事故でした。
また、温度計さや管の設計に問題があったことや運転員の不適切な判断により事故の収束が遅れました。さらに、事故後の情報公開をめぐる動力炉・核燃料開発事業団(現:日本原子力研究開発機構)の不適切な対応などにより原子力に対する不安感、不信感が高まりました。
科学技術庁(当時)では、もんじゅの安全性を確認するため安全性総点検チームを設置し、全般にわたる点検を行い、報告書をとりまとめました。
この報告書では、ナトリウム漏えい後の措置、運転員の支援の充実、事故時対応のための体制整備などの改善方針が確認されています。また、原子力安全委員会でも審議が行われ、もんじゅにおける改善方針の妥当性が示されています。
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