私たちをとりまく環境のあらゆる物質は安定な原子核をもった元素から成り立っています。しかし、これらの中には非常にわずかですが、不安定な原子核をもったものが含まれています。不安定な原子核はエネルギーを放出して安定な状態に変わろうとします。(これを原子核の崩壊といいます)このときのエネルギーがアルファ線、ベータ線、ガンマ線などの放射線という形で放出されるのです。
このような放射線の存在は、今から約90年前、フランスのベクレルによってウラン化合物から偶然発見されました。
その後、キュリー夫妻や多くの研究者が次々と放射線を出す物質を発見し、放射線には3種類の性質の違うものがあることが確認されました。この3種類の放射線をアルファ線、ベータ線、ガンマ線と名付けました。
(1)アルファ線・・・陽子2個と中性子2個からなる粒子の流れ。この粒子はヘリウムの原子核と同じで、正の電気を帯びています。アルファ線は、透過力が弱く薄い紙1枚で完全に止まります。
(2)ベータ線・・・電子の流れ。負の電気を帯びています。透過力はアルファ線より強いが、アルミニウムなどの金属やプラスチック板で完全に止まります。
(3)ガンマ線・・・光や電波、赤外線などのような電磁波の一つです。厚いコンクリートや鉛の板でやっと止まるほどの強い透過力を持っています。
|