としやす杉本知事は2022年10月13日、西村康稔経済産業大臣と経済産業省で面談し、原子力政策の明確化と着実な実行などについて要請しました。面談の中で知事は、8月24日のGX実行会議で岸田文雄内閣総理大臣が、原子力に関して政治決断が必要な課題について検討を加速するよう指示したことに触れ、西村経産大臣に対し「次のエネルギー基本計画改定まで待つことなく、原子力の将来像を明確にし、責任あるエネルギー政策を進めてほしい」と述べました。また、原子力発電所の運転期間の延長についても、安全を最優先にし、規制当局も含めて、科学的・技術的観点から慎重に議論するよう求めました。これに対し、西村経産大臣は、再稼働や運転期間の延長、次世代革新炉の開発・建設などの課題について、「安全性確保を大前提とし、しっかりと議論していく」との見解を示しました。知事は同日、永岡桂子文部科学大臣とも面談し、高速増殖原型炉もんじゅや新型転換炉原型炉ふげんの廃止措置について、国の指導・監督を強化して着実な実行を求めるとともに、「もんじゅ」を含む周辺地域の高速炉研究開発の拠点化構想を早期に具体化するよう要請しました。国の総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会の原子力小委員会が11月28日、経済産業省で開催されました。委員会では、8月24日のGX実行会議で提起されたテーマ等について、今後の方向性等の案が示されました。その中で、原子力発電所の運転期間の延長は20年を目安とし、その際には安全規制等の変更に伴って停止した期間等はカウントに含めないなどの運転期間の考え方や、次の定期検査までの運転期間を長くするなど設備利用率向上の案が説明されました。また、次世代革新炉の開発・建設は、廃止決定炉の建て替えを対象に具体化を進めていく方針が示されました。オンラインで出席した杉本知事は、将来における原子力の規模とそこに至る道筋を示すことの重要性を訴えるとともに、「運転延長と設備利用率向上の必要性、それに対する安全確保について、科学的・技術的観点から、政府一体として責任ある見解を示す必要がある」、「既設炉の活用か、革新炉の開発・建設かを問わず、事業者が安全対策に十分に投資できるような枠組みを整えることが重要である」と述べました。国は年内に結論を取りまとめ、GX実行会議に報告することとしています。 ※ 2原子力政策の明確化と 着実な実行を国に要請国の原子力小委員会において今後の原子力政策の方向性を議論※GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議:経済・社会や産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体の変革を検討する会議○将来の原子力の必要な規模とその確保に向けた道筋をはじめ原子力のさまざまな課題について、次のエネルギー基本計画改定まで待つことなく検討を加速し、原子力の将来像を明確にして、責任あるエネルギー政策を着実に実行すること。○運転期間の延長について、安全規制に 一 元的な責任を持つ国において、規制当局も含め、安全を最優先に科学的・技術的観点から慎重に議論すること。○使用済燃料の中間貯蔵施設について、2023年末までの計画地点確定に向け、国が主体となって対応すること。○「もんじゅ」「ふげん」の廃止措置への指導・監督を強化すること。○「もんじゅ」を含む周辺地域の高速炉研究開発の中核的拠点化に向けた調査を早急に実施し、拠点化構想を早期に具体化すること。◆西村経産大臣への主な要請事項◆永岡文科大臣への主な要請事項西村経産大臣(右)に要望書を渡す杉本知事(左)原子力nuclear energytopics「今後の原子力に関して政治決断が必要な課題」8月24日のGX実行会議で提起された■再稼働への関係者の総力の結集■運転期間の延長など既設原子力発電所の最大限活用■新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設■再処理・廃炉・最終処分のプロセス加速化
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