あっとほうむ No.210
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5 コンピューターで作った設計図を基に立体物を作り出す3Dプリンター。複雑な構造のものを簡単に生産できることから、建築、医療分野、宇宙産業など、さまざまな場所で活用されています。3Dプリンターが活躍!「福井県のメガネ作り」上空400kmで部品を作る! 福井が世界に誇るメガネフレームの製造でも3Dプリンターは大活躍しています。 メガネフレームを生産する場合は、事前に細かなデザインや掛け心地を確かめるための試作品をいくつも作ります。金属製のフレームはプレス機と金型を使って大量生産されますが、金型は一つ作るのに多くの時間と費用がかかり、試作品づくりに向きません。 そこで3Dプリンターを使って、短時間かつ安価にフレームを試作し、微調整を繰り返します。こうして最終的に決定したデザインをもとに金型が作られ、大量生産に移ります。 地上から約400km上空の軌道を周回する国際宇宙ステーションにも、3Dプリンターが設置されています。任務で使う道具や機械の交換部品などのデータを地上から受け取り、3Dプリンターで作ることで、あらかじめロケットに積み込む荷物を減らし、打ち上げに必要なエネルギーを節約します。徹底リサーチ! 新時代のテクノロジー3Dプリンターに仮想現実(VR)、人工知能(AI)…近年、新しい科学技術がどんどん実用化され、生活にも身近なものになりました。暮らしを便利にしてくれる技術の裏側は、どんな仕組みになっているのでしょうか。ヴァーチャルリアリティー3Dプリンターで作られたメガネフレームの試作品県産のメガネフレーム3Dプリンター今年4月~9月に、打ち上げが予定されている福井県民衛星「すいせん」の部品も、3Dプリンターで試作をしてから本物を作ったんだよ。縦・横方向に移動し、熱で溶かしたフィラメントを先端部のノズルからプリントボード上に出力します。ミシン糸のようにドラム状に巻かれています。作りたいものに合わせて色を選びます。プリントボード造形物が一段プリントされるごとに、少しずつ下へ移動します。プリントヘッド&ノズル樹脂製フィラメントCT画像から骨格や内臓の模型を作り、模擬手術を行うことで、実際の手術時間を短縮することができます。 3Dプリンターはさまざまなタイプに分かれています。例えば、熱で溶かした樹脂を積み重ねて物を作り出すタイプや、紫外線やレーザー光を使い、液体や粉末などを固めて物を作り出すタイプなどがあります。 今回は、フィラメントと呼ばれる線状の樹脂を熱で溶かし、ソフトクリームを作るように下から上へ何層にも積み重ねて形を作る「熱溶解積層方式」の3Dプリンターを紹介します。これが3Dプリンターだ!!まるでソフトクリーム製造器!?福井県民衛星「すいせん」モノづくりに革命を!3Dプリンターで作られた骨盤の模型3Dプリンターの造形物は、一段ずつ積み重ねながら作られます。造形物3Dプリンターは下部から造形するため、人形の首から頭のように、急な角度で横に広がる部分や、腕のように宙に浮いてしまう部分は、そのまま出力することができません。そのため「サポート材」と呼ばれる支柱のようなパーツとつなげて出力し、完成後にサポート材のみを切り取ります。円形の指輪を出力する際のサポート材(矢印)サポート材ソフトクリームを作るようなイメージ

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