あっとほうむ No.206
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35スペース★ラボスペース★ラボスペース★ラボ 福井県では、2019年に宇宙分野で世界最大規模の国際会議が開催されます。また、宇宙産業を新たな政策の柱として、2020年度に超小型人工衛星の打ち上げを目指しています。「スペース★ラボ」では、地球と異なる「宇宙」をさまざまな角度から紹介します。 今号は、「ロケット」について  みてみましょう。 ロケットには、方向を測る「ジャイロ」、加速度を測る「加速度計」があります。これらが得たデータを使い、「コンピュータ」がロケットの位置を計算し、「制御装置」で飛行コースを修正しながら飛んでいます。しかも、全て自動で行うため、ロケットは巨大なロボットといえるかもしれませんね。 530トン以上もあるロケットですが、大部分は燃料と酸素を入れるタンクです。そこで、ロケットの重さをできるだけ軽くし、スピードを速くするため、使い終わったタンクから順番に切り離していきます。最後に残った人工衛星は、地球を回りながら、地球観測や地上からの電波を中継して通信や放送などに役立っています。身軽になって、スピードアップ! ロケットは打ち上げの時、大きな音(振動)を出します。人工衛星は、この振動によって壊れないように、吸音材が内側に貼られたフェアリング(ロケット先端部のカバー)で保護されています。吸音材は、音を吸収するとともに、振動によって発生するホコリや静電気からも人工衛星を守ります。 福井県は古くから繊維産業と深い関わりがあります。その最先端の繊維加工技術と縫製技術が注目され、人工衛星を守るための高性能な吸音材として採用されました。 ロケットを打ち上げるには、エンジンからたくさんのガスを吹き出さなければいけません。大きなエンジンを作るのは難しく、たくさんのお金と時間がかかります。そのため、性能が安定した小型のエンジンを集め、1つの大きなエンジンとして使います。ロケットの命、エンジン ロケットの役割は、ロケットの先端に人工衛星や探査機を積み、宇宙へ運ぶことです。日本のロケットは、打ち上げの成功率が高く、燃費にも優れているなど、技術面、経済面ともに世界トップレベルです。 地球には、地球の中心に向かって引っ張る力(重力)があります。重力に逆らって、宇宙へ飛び出すためには、ロケットは速く飛ばなければなりません。 ロケットは、人工衛星が地球を回るために秒速7.9㎞(時速28,440㎞)、月や惑星に向かうために秒速11.2㎞(時速40,320㎞)もの速度が必要です。 ロケットは、燃料を燃やして大量のガスを作り、そのガスを地面に向かって勢いよく噴き出し、その反動で空へ飛んでいきます。 ロケットが飛ぶためには、燃料と、それを燃やす空気(酸素)が必要です。しかし、宇宙空間には空気がありません。そこで、燃料だけでなく、酸素も積んで、ロケットは打ち上げられます。ふくらませたゴム風船の空気を抜くと、空気が吹き出す方向と逆の方向に飛んで行くよね。これと同じ原理だよ。秒速7.9㎞は、新幹線の100倍以上の速さだよ。東京から大阪までたったの1分程で行けるんだ!!第2段ロケット内部燃料を使い終わって空になった第1段の酸素タンクと燃料タンクを捨てる第2段も空になったら捨てる第1段エンジン停止第2段エンジン点火第2段エンジン停止人工衛星「こうのとり」分離ポイフェアリング15m第1段38m全長56.6m第2段11m第2段燃料タンク第1段燃料タンク第2段酸素タンク第1段酸素タンク第2段エンジン第1段エンジン(小型エンジン2つ)人工衛星「こうのとり」H-ⅡBロケット吸音材5つの小型エンジンを集めたロシアのソユーズロケット制御装置ジャイロ加速度計コンピュータ飛行コースを修正位置を計算どれくらい加速?どっち向き?21東京●大阪●1分!!燃料酸素酸素をあらかじめ持って行くのがロケット空気から酸素を取り入れるのがジェット機空気空気ジェット機ロケットロケットは巨大なロボット!?福井県の技術が人工衛星を守る!フェアリングの内側に吸音材を取り付けている様子写真提供:JAXA/ESA/NASA写真提供:JAXA・セーレン㈱提供:JAXA写真提供:S.P.Korolev RSC Energia写真提供:三菱重工/JAXAポイ人工衛星は、次号で詳しく説明するよ!ロケットが進む向きガスが吹き出す向き

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