あっとほうむ No.204
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 7月3日、政府はエネルギー政策の中長期的な基本方針を示す「エネルギー基本計画」を閣議決定し、2030年に向け策定したこれまでの計画の見直しに加え、新たに2050年を見据えたエネルギー政策の方向性を示しました。 新計画では▼原子力発電を引き続き「重要なベースロード電源」とし、2030年のエネルギーミックスにおける電源構成比率を実現できるよう対応を着実に進めること▼2050年に向けて原子力発電を「脱炭素化の選択肢」と位置付け、安全性・経済性・機動性に優れた炉を追求するとともに、バックエンド問題の解決に向けた技術開発を進めることなどが明記されました。2To picsnuclearenergy原 子 力 トピックス●事業者の取り組みを支援するため、新たな組織の設立などメーカー等も含めた産業界での連携を強化し、知見を集約するとともに、原子力規制委員会や社会との双方向のコミュニケーションを強化する。●原子力利用における不断の安全性向上●関係自治体や国際社会の理解を得つつ取り組み、再処理やプルサーマル等を推進する。アメリカやフランス等と国際協力を進めつつ、高速炉の研究開発に取り組む。●「もんじゅ」について、安全確保を最優先に、着実かつ計画的な廃止措置に責任を持って取り組むとともに、敦賀市を原子力・エネルギーの中核的研究開発拠点として整備する。●核燃料サイクルの推進●「科学的特性マップ」の公表を契機に、関係省庁連携の下、国民の関心を踏まえた多様な対話活動の推進等の取り組みを一層強化し、複数の地域による処分地選定調査の受け入れを目指す。●放射性廃棄物の最終処分に向けた取り組みの強化●事業者が進める中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設も含めた使用済燃料貯蔵能力拡大の取り組みについて、国が積極的に関与し、関係自治体の意向も踏まえながら、使用済燃料の安全で安定的な貯蔵が行えるよう、官民を挙げて取り組む。●使用済燃料問題の解決に向けた取り組みの推進「エネルギー基本計画」が        閣議決定エネルギーミックスってなあに? エネルギーには、「3つのE(エネルギーの安定供給、経済効率性の向上、環境への適合)+S(安全性)」を満たすことが求められます。「3E+S」を満たすためには、国の事情や国際情勢などを考慮しながら、さまざまなエネルギー源を組み合わせることが必要です。この組み合わせを「エネルギーミックス」といいます。2030年度のエネルギーミックスにおける各エネルギー源の比率は、再生可能エネルギーが22~24%、原子力発電が20~22%、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料が56%となっています。?エネルギー基本計画の概要(原子力の位置付けや政策の方向性に関する概要)再エネ約22~24%総発電電力量約10,650億kWh2030年度原子力約20~22%天然ガス約27%石炭約26%石油約3%電源構成地熱約1.0~1.1%バイオマス約3.7~4.6%太陽光約7.0%風力約1.7%水力約8.8~9.2%●原子力発電の依存度を、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化等により、可能な限り低減させる。●2030年のエネルギーミックスにおける電源構成比率の実現を目指し、必要な対応を着実に進める。2030年:エネルギーミックスの実現長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源●経済的に自立し脱炭素化した再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原子力発電の依存度を低減する。●社会的信頼の回復に向け、人材・技術・産業基盤の強化に着手し、安全性・経済性・機動性に優れた炉の追求、バックエンド問題の解決に向けた技術開発を進めていく。2050年:エネルギー転換への挑戦実用段階にある脱炭素化の選択肢【2030年に向けた原子力政策各論】【原子力発電の位置付け・政策の方向性】

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