あっとほうむ No.196
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化化5 カメレオンやヒラメなどは、体を周囲の色や模様にゆっくりと変えていき、天敵から身を隠します。それに対し、イカは一瞬で体の色を変えることができます。まるで手品のように色が変化するヒミツに迫りましょう!づめ科学の福井県の イカ イカは、敵から身を隠すほかに、獲物を襲う時、敵やライバルに対して威嚇する時など様々な目的で、体の色を瞬間的に変えます。特に、オスがメスに求愛する時は、体を赤・黄・緑・青色などカラフルに変化させ、メスにアピールします。 絵の具をパレットの上で混ぜて、新しい色をつくったことがありますよね。雑誌なども印刷部分を拡大して見ると、赤・黄・青色からできているのが分かります。この3色を混ぜることによってあらゆる色をつくり出しています。 イカの仲間は、世界に500種近くいるといわれています。日本周辺には100種ほどのイカが生息し、私たちが口にしているのは、そのうち約30種です。福井県では、スルメイカやヤリイカ、ケンサキイカ、ヒメイカ、ホタルイカなどがいます。自然に学ぶテクノロジー 電子ペーパーは、軽い上に、画面の書き換えが繰り返しでき、電源を切っても表示が続くため省エネですが、カラー化しにくいという弱点があります。 そこで、イカの体の色が多彩に変化することをヒントに、色素胞を人工的につくり出し、イカと同じように各色ごとの層に分けて並べることによって、鮮やかな色彩を表現することができると考えられています。 「人工の色素胞」が開発されれば、カラー電子ペーパーはもちろん大型ディスプレイや看板などへの応用が期待できます。電子ペーパーイカ色が変化するヒミツ色が変化するしくみここがポイントここがポイント イカが体の色を変えることができるのは、皮膚の下に「色素胞」があるからです。色素胞とは、黒・赤・橙・黄・緑・青色などの色素を持つ細胞で、周囲を筋肉で覆われています。筋肉が縮むと、細胞は広がり、反対に筋肉が緩むと、細胞は小さな点となって、色が見えなくなります。色素胞は、各色ごとの層に分かれて分布し、重なり合うことで様々な色をつくることができます。 電子ペーパーは、白黒の粒子で、文字や模様を表示するのが主流です。 開発中のカラー電子ペーパーは、粒子の代わりに電気を流すと光る「人工の色素胞」を使い、透明な状態と発色した状態を変化させ、様々な色を表します。色素胞を人工的に開発スルメイカヤリイカケンサキイカすすここがポイントここがポイント現在の電子ペーパー変変るるしき そ ほう赤色と青色を混ぜると紫色、黄色と赤色からオレンジ色、黄色と青色から緑色ができます。赤・黄・青の色の重ね合わせ全部混ぜると黒になるんだ!メスオスオスのイカが、体の色をメス側の半分だけ変えて求愛しているよ筋肉が縮む筋肉が緩む色素胞が小さくなり、色が透明になる色素胞が広がり、色がカラフルになる色素胞筋肉色素胞のしくみイカは筋肉を上手に使う達人だね♪電気を流さないと透明で、流すと光る人工の色素胞によって、様々な色をつくり出しています。新しいカラー電子ペーパー筋肉の代わりに電気を使って、色を変化させるんだ色が←透明な表皮←黒色色素胞層←赤色色素胞層←橙・黄色色素胞層←緑・青色色素胞層←白色色素胞層←筋肉赤の人工色素胞赤電気を流す板黄の人工色素胞青の人工色素胞青画面写真提供 : 福井県水産試験場

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