原子力&地域情報誌 あっとほうむ
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収収5 荷物をうっかり落としてしまいました。さあ、大変!でも、中の商品は壊れていません。それは、商品を包んでいる梱包材が、素材や構造で衝撃を吸収しているから。同じしくみでキツツキも大事な脳を守っています。その防御システムのヒミツにせまってみましょう!づめ科学の福井県の キツツキ キツツキは、1秒間に18~22回、1日に500~600回もくちばしを木に打ち付けています。1回に受ける衝撃は、時速25kmで人間が壁に頭をぶつけた場合と同じくらい。その強烈な衝撃を脳の周りのクッション構造で吸収しています。 この他、強靱な首の筋肉やあごの骨の独特の構造によって、衝撃を吸収するしくみになっています。 金属の上にボールを落とした場合に比べ、梱包材など柔らかい素材や空気をたくさん含んだ素材の場合、同じ衝撃を受けても、梱包材自体が変形し、時間をかけて受け止めるため、衝撃による影響を小さくすることができます。 木をつつく習性がある鳥をまとめて「キツツキ」と呼んでいます。キツツキの仲間は日本に11種類、県内にはアカゲラやアオゲラ、コゲラなど5種類います。県内の森や林に生息し、平地や大きな公園などでも見かけることができます。(表紙写真:アカゲラ)自然に学ぶテクノロジー 衝撃を吸収するため、内側にスポンジがついたバイク用のヘルメットは、キツツキの頭のクッション構造をまねて作られました。 キツツキをヒントにした、大きな衝撃や振動を吸収するしくみは、削岩機やドリルなどへの応用が期待されています。削岩機キツツキ衝撃から頭を守るクッション構造衝撃を吸収するしくみここがポイントここがポイント キツツキの頭蓋骨は、脳とくちばしの間がスポンジ状の構造になっていて、梱包材のように衝撃を吸収し、脳を守ります。 キツツキの頭蓋骨に似たスポンジ状の素材を使って、モータ部分から伝わってくる衝撃や振動を遮断できるよう設計したり、舌骨のような部品を設置するなど、人体への負担が少ない削岩機やドリルの開発が進められています。衝撃や振動を吸収して、人体への影響を軽減提供 : SIP革新的設計生産技術プロジェクト/バイオイノベーティブデザインの研究開発(金沢大学)アオゲラコゲラすすモータ左の図はキツツキのくちばしに衝撃を与え、衝撃の強弱を色(赤→青)によって表したもの。衝撃がくちばし側で吸収され、脳側へと伝わっていないのが分かります。キツツキの頭蓋骨は、空洞がたくさんあるスポンジ状になっています。スポンジの層が自在に変形することで、衝撃を吸収します。キツツキには、舌骨という脳を固定してシートベルトのような役割を果たす骨があります。あごから後頭部をぐるりとまわって、鼻にまで達している細長い骨で、キツツキ特有の形状です。キツツキの頭のクッション構造ここがポイントここがポイント衝撃ヘルメット吸吸るる舌骨ぜっ こつ脳を守るために、こんなシステムもあるよ舌骨のような弾力のある部品で衝撃、振動を軽減頭蓋骨のようなスポンジ状の素材で衝撃を遮断さらに大きな掘削機への応用も研究されているよくちばし側脳側力の強さと流れ脳梱包材にボールが落ちてくると、衝撃を受ける時間が長くなって、衝撃のエネルギーが小さくなるんだね。エネルギーの一部は梱包材を変形するのにも使われているよ。スポンジ状の頭蓋骨衝撃のエネルギー時間衝撃を受ける時間 【短い】大きい衝撃のエネルギー時間衝撃を受ける時間 【長い】小さい金属梱包材ず がい こつ空気空気空気提供 : 福井県自然保護センター

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