あっとほうむ No.192
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ポンポンポンドーンドーン速い速い5 カワセミは「水辺の宝石」と言われるとてもきれいな鳥で、日本中の川や湖などに生息しています。この鳥の特技は、魚捕り。魚を発見すると、ものすごいスピードで水中にダイビングして、あっという間にくちばしで魚を捕らえます。 一体どうやって素速く潜るのでしょうか?づめ科学の福井県の カワセミ 魚を捕まえるとき、カワセミは、水辺近くの木の枝やくいに止まって魚を探します。見つけると羽をすぼめ体を細長くし、時速約100kmのスピードで一直線に水中に飛び込みます。 水中は空気中よりも1000倍も抵抗が大きくなりますが、  それにもかかわらず、水しぶきはほとんど上がりません。スズメぐらいの大きさで、頭や翼は鮮やかな青緑色に輝き、見る角度によって微妙に色が変わるのが特徴。県内全域の河川や湖沼などに生息し、特に、あわら市北潟湖や越前市日野川、小浜市遠敷川などでよく見かけます。オスとメスの違いは、下くちばしの色。色の黒いのがオス、赤いのがメスです。【観察ポイント】カワセミは朝方と夕方、食事のため流れの穏やかな浅瀬によく見られます。水際の枝や石の上に魚のうろこや白いペンキのようなフンがついていたら、カワセミがそこで魚を食べた証拠。さらに、「キーキー」という自転車の急ブレーキのような音が聞こえたら、近くにいるかもしれませんよ。自然に学ぶテクノロジーカワセミカワセミ新幹線新幹線カワセミのスピードのヒミツカワセミのスピードのヒミツカワセミのくちばしをヒントに、騒音防止カワセミのくちばしをヒントに、騒音防止北陸新幹線はどうなの??ここがポイントここがポイントここがポイントここがポイント カワセミのくちばしは、カツオドリやアジサシなど水中の魚を捕食する他の鳥と比較しても、するどい流線形をしています。この形のおかげで、水に飛び込んだ際の衝撃を小さくすることができます。 500系新幹線の先頭部は、さまざまな列車模型を狭い空間に打ち込む実験を行った結果、カワセミのような流線形にすることで、トンネルに突入する際の衝撃が小さくなり、騒音解消に成功しました。 その後、研究・開発が進められ、先頭部のふくらませ方を工夫することにより、先頭部を短くしても、トンネルに突入する際の空気の衝撃を軽減できることが明らかになりました。 こうして、カモノハシのくちばしに似た700系やN700系新幹線が開発されました。 今年3月14日に開通した北陸新幹線は、最高速度が時速260km。最高速度を下げることでいろいろなメリットがあります。先頭部の長さが9mと短くなり、騒音も少なくなります。また、すべての座席にコンセントが装備されています。これは高速で運転しないため、電気容量に余裕ができ、実現可能となりました。 新幹線を間近で見比べると、さらに新しい発見があるかもしれませんね。ほとんど同じ形なのに、水しぶきの量が全然違うよ円すい形流線形 (カワセミのくちばし) 新大阪から博多までを運行している500系新幹線「こだま」。この先頭部、何かに似ていると思いませんか? 新幹線が高速で広い空間から狭いトンネルに入ると、空気鉄砲のように車両前方の空気が圧縮され、トンネル内を音速で進み、出口で「ドーン」という衝撃音を発生させます。この衝撃音を防ぐため、研究と実験を重ねた結果、カワセミのくちばしと同じ形が最も適していることが分かりました。長く尖った流線形のおかげで、騒音問題を解決し、営業速度で時速300㎞という世界最速のスピードも達成しました(1997年当時)。 先端を流線形にする工夫は、魚釣りのウキや船舶などにも活かされています。カワセミのくちばしのように、先頭部の長さ約27mのうち、約15mを尖った流線形にし、空気を車両の上側に流す500系車両周りの空気の流れ700系新幹線次は、どんな動物の形になるか楽しみだね➡➡?トンネル内の空気の流れ押し縮められる空気の逃げ場がないので、空気は前に押し縮められ、出口から勢いよく飛びだす船舶魚釣りのウキココココカワセミのオスカワセミのメス

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