古代から金貨や宝飾品として利用されてきた金は、人類にとって大きな価値がある元素の1つです。
金は軟らかく加工しやすいので、薄さ0.0001ミリメートルの金箔をつくったり、1グラムの金から約3000メートルの金線をつくることができます。
他の元素とくっつきにくい金は、元素記号「Au」がラテン語の「太陽の輝き(Aurum)」に由来するように、腐食しにくく、輝きを失うことはありません。金でつくられた古代エジプト王ツタンカーメンの黄金マスクは、3000年以上たった現代でも新品のように輝いています。
また現在では宝飾品だけでなく、電子機器の回路や音響端子のメッキ(物質の表面に金属を薄く塗ること)などに使われます。
銀も金と同様、銀貨や宝飾品として古くから利用されてきました。金は1番、銀は2番というイメージがありますが、銀は全ての金属元素の中で、光の反射率が最も高く、電気や熱を最もよく伝える、とても優れた元素です。
17世紀頃の日本は、世界最大級の銀の産出国でした。日本最大の銀鉱山である島根県の石見銀山は、世界遺産にも登録されています。
また銀は、写真のフィルムの原料にもなっていて、デジタル写真が普及するまで、一般的に使われていました。
最近では、銀のイオン(原子が電気を帯びた状態)が持つ殺菌効果を利用し、除菌剤や消臭剤にも使われています。
銅はきれいな赤茶色の金属光沢を持った元素です。人類が最初に使った金属で、イラク北部では、およそ1万年前につくられたとされる銅の玉が見つかっています。
銅は銀の次に電気・熱を伝えやすい元素で、安価で加工も簡単なことから、電線や電気部品、調理鍋などに使われています。
さらに、他の金属元素と混ぜ合わせると、黄銅、青銅、白銅など、様々な種類の合金をつくります。日本で流通する1円玉以外の硬貨には、すべて銅が使われています。
また、人間の血液には鉄が含まれ、赤い色をしていますが、クモやイカの血液には銅が含まれていて、空気に触れると青色に見えます。