福島第一原発事故を教訓とした県内原子力発電所の
安全性向上対策について(大飯3・4号機の安全性について)
県原子力安全専門委員会の「報告書」は、同委員会がこれまで1年余りの間、18回にわたり国や事業者等からの聴取や現地調査を行い、福島第一原発事故を踏まえた安全対策の実施状況や大飯3・4号機の安全性などについて審議・検証した結果をまとめたものです。報告書の内容は次のとおりです。
- 電源確保対策や冷却機能確保対策などの安全対策を国に先駆けて提言し、また立地県の立場から初動対応の強化を追加して求め、国の安全基準に反映させている。
- 独自の視点から、事業者に緊急炉心冷却設備の総点検や津波痕跡調査等を指示し、事業者はこれらの対策を追加で実施した。
- 安全対策の実施状況を発電所現地で確認し、電源接続作業の改善などを指示した。
- 福島第一原発事故の事実関係および事故原因
- 国が事業者に指示した安全対策の内容および国が策定した原子力発電所再起動にあたっての判断基準
- 事業者の安全対策の実施状況(大飯3・4号機について)
福島第一原子力発電所1・2・3号機については、現時点では、格納容器内などの現場確認ができていない状況だが、政府の事故調査報告書等による事故原因は次のとおり。
❶地震により送電鉄塔や電気設備が損壊し、外部電源が喪失❷津波の襲来で海側のポンプ類全てが機能喪失
❸建屋への浸水により非常用のディーゼル発電機や蓄電池、配電盤等が水没・被水し、「冷やす機能」が喪失
❹原子炉の水位が低下して炉心が露出し、炉心が損傷・溶融
❺原子炉内に発生した大量の水素が原子炉格納容器を経て原子炉建屋内に漏えいし、同建屋内上部で爆発
❻燃料棒内の放射性物質が、建屋内から周辺環境へ大量に放出
国は、福島第一原発事故の技術的な課題について、専門家による検証も含め、1年以上にわたる議論を積み重ねた結果を整理し、今年4月6日の四大臣会合において、再起動にあたっての基準を決定した。この判断基準には、事故の進展段階に応じた外部電源対策、所内電気設備対策、冷却・注水設備対策、格納容器破損・水素爆発対策および全体を通してのプラントの監視機器や通信設備の対策などが示されている。
県原子力安全専門委員会が今後の原子力発電所の安全確保に向けて、国や事業者に対応を求めている事項は次のとおり。
- 国は、新たな知見が判明した場合には、それらの知見を迅速に安全規制や既存の施設に反映させるシステムを構築すること
- 中長期対策として計画している安全対策を、事業者は確実に計画を遂行し、国は実施状況を厳格にチェックすること
- 国は、地震、津波以外の自然現象や、テロ等の人為的外的事象など、想定外となり得る事象への対応についての検討を進めること
- 国は、国内外の最新のプラントと古いプラントを比較し、安全性の観点から古いプラントに追加要求する項目を明らかにすること
- 事業者は、アクシデントマネジメントの観点から、可搬型機器などを柔軟に活用するため、マニュアルを応用した訓練を行うなど、運転員や緊急対応要員等の対応能力向上を図るための教育を充実させていくこと