黒くて簡単に折れてしまう炭や鉛筆の芯も、透明で頑丈なダイヤモンドも、炭素だけでできている物質です。炭素には原子同士のつながり方で、全く違う物質になってしまう不思議な性質があります。
また、炭素でつくられた繊維が金属よりも軽くて丈夫なので、飛行機の材料として実用化されています。
元素の中で一番軽くて小さいのが水素です。酸素とくっついて水をつくる水素は、人の体、海、宇宙空間などあらゆる場所に存在し、この世で最も量の多い元素です。
また、空気中の酸素とくっつく際に、電気エネルギーを出す性質を利用した「燃料電池」が、二酸化炭素を出さない新しいエネルギー源として使用されているほか、水素の原子核を使った陽子線が、患者への負担が少ないガンの治療法として利用されています。
酸素は木や草などの光合成でつくられ、人間や動物が呼吸をして生きていくためには欠かせない元素です。また、物質が燃えるのを助けたり、金属と結びついて錆びつかせてしまう性質があります。この錆びる現象を上手に利用したのがステンレス鋼です。スプーンやフォークなど食器の材料として使われているステンレス鋼は、中に含まれるクロム元素が最初から酸素と結びついて表面に錆(酸化皮膜)をつくり、それ以上錆びにくくした金属です。