私たちのまわりにはいろいろな放射線があります。宇宙からは、いつも宇宙線という放射線が降り注いでいて、空気や大地、食べ物の中にはラドンやカリウム40など自然の放射性物質が含まれています。これらの放射線を自然放射線と呼び、私たちは1年間で2.4ミリシーベルト(世界平均)の自然放射線を受けています。また、レントゲン検査など病気の診断や治療で使われている放射線を人工放射線と呼んでいます。
自然放射線の量は地質の違いや気象条件によって変わります。例えば雨が降ると、空気中の放射性物質(ラドン)が雨と一緒に地上に降ってくるので、放射線量は一時的に高くなります。また、雪が積もると大地からの放射線を雪がさえぎるため、放射線量は低くなります。
私たちの体にはカリウムという物質が必ずあります。普段食べている食品の中にも天然のカリウムが含まれており、その中にはカリウム40という放射性物質が0.0117%含まれています。
生ワカメとホウレンソウには、1㎏あたり200ベクレル、牛肉には100ベクレル含まれています。また、空気中には地表の岩石から発生するラドンという放射性物質があり、呼吸によって体の中に入ってきています。
放射能の強さは時間とともに弱くなっていきます。
放射性物質は放射線を出して、安定した原子に変わっていきます。このため放射性物質の原子の数は減少し、その減り方は種類によって違います。ある種類の放射性物質の原子の数が半分になるまでの期間を「半減期」といい、例えばヨウ素131の半減期は約8日です。
原子力発電所は、燃料のウラン235の核分裂で発生する熱エネルギーを使って発電しています。この核分裂によって、ガス状の「ヨウ素131」や粒子状の「セシウム137」などの放射性物質が生まれます。これらは「核分裂生成物」と呼ばれ、燃料棒の中に蓄積されます。福島第一原子力発電所の事故では、燃料棒が溶融したことにより、これらが外に放出されました。