減速(水)原子力発電はどうやって電気をつくるの?原子力発電はどうやって電気をつくるの?4すべての物質は、いろいろな原子からできています。原子の中心には、陽子と中性子と呼ばれる粒が集まった原子核があり、そのまわりを電子が回っています。原子には水素や酸素、炭素やウランなどの種類がありますが、原子の種類は陽子の数によって決まります。ウラン235の原子核に中性子が飛び込むと、原子核が2つに分裂して熱エネルギーを出します。この現象が核分裂です。核分裂と同時に中性子が2~3個飛び出します。この中性子で、次の核分裂が起きます。このように核分裂が次々と起こることを核分裂連鎖反応といいます。核分裂の数が増減することなく、同じ割合で連鎖反応が続く状態を臨界といいます。原子力発電所では、ウランなどの原子を核分裂させ、臨界状態にして発電していますが、中性子を吸収する制御棒などで中性子の数をコントロールしています。燃えにくいウラン(U-238)核分裂を起こして熱と中性子を出す中性子中性子制御棒中性子を取り込む新しい燃料(プルトニウム)中性子と反応中性子が飛び込む燃えるウラン(U-235)やプルトニウム制御棒は、中性子を吸収し核分裂連鎖反応をコントロールするさらに燃えるウラン(U-235)やプルトニウムは、 核分裂を繰り返し、エネルギーを出し続ける燃えにくいウラン238に中性子が当たると、新しい燃料のプルトニウムに変わります。電子陽子中性子原子核約1億分の1cm約1兆分の1cm原子力発電も火力発電も、水を沸かして蒸気をつくり、タービンを回して発電します。蒸気をつくる方法として、火力発電はボイラーで天然ガスや石炭、石油などの化石燃料を燃やしますが、原子力発電は原子炉でウランやプルトニウムなどを核分裂させて発生した熱を利用します。タービン発電機一般家庭、工場などへ原子炉ウランなどの原子燃料蒸気蒸気ボイラー火力発電…“ボイラー”で天然ガスや石炭などの「化石燃料」を燃やして発生した熱を利用します。原子力発電…“原子炉”でウランやプルトニウムなどの「原子燃料」を「核分裂」させて発生した熱を利用します。ウラン原子の陽子の数は92個ですが、中性子が143個あるウラン235と、146個あるウラン238とがあります。原子炉原子力発電と火力発電の比較原子力発電と火力発電の比較ウランなどの原子は「核分裂」で熱エネルギーを出すウランなどの原子は「核分裂」で熱エネルギーを出す原子とは・・・原子とは・・・原子炉内の水の圧力を調整する。(原子炉を通る1次冷却水が沸騰しないように高い圧力(157気圧)を加える)❷ 加圧器❷ 加圧器原子炉と蒸気発生器の間で1次冷却水を循環させる。❽ 冷却材ポンプ❽ 冷却材ポンプ原子炉で使用した燃料を貯蔵するプール。原子炉から取り出した燃料は、熱を持っているため、プールの水を循環させて冷却している。原子力発電所では、約1年に1回、原子炉を止めて、燃料の3分の1ほどを新しいものに交換する。使用済燃料プール原子炉内で発生する熱を取り出し、炉心を冷却するために用いる物質。(軽水炉は水、高速増殖炉では液体ナトリウムなど)また、軽水炉では、核分裂で発生する中性子の速度を落とし、連鎖反応を起こしやすくする減速材としての役割も兼ねている。冷却材核分裂を起こす中性子を吸収し、核分裂を制御するもの。原子炉を完全に止める時は、すべての制御棒が原子炉の中に挿入されるしくみになっている。制御棒ウランやプルトニウムを焼き固めたペレット状の燃料が、燃料棒という金属製の筒の中(被覆管)に数百個入っている。原子炉には、燃料棒を束ねた燃料集合体※が収められている。燃 料※大飯発電所3・4号機(加圧水型軽水炉)の場合、燃料棒を 289本束ねた燃料集合体が、193体入っている。やさしい原子力やさしい原子力やさしい原子力やさしい原子力原子力発電のしくみ原子力発電のしくみ
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